『ある友人の溜め息』



心配していたの。
貴女の、余りの空回り様に、上手くいくのかってとても、告白しても無理じゃないかってとても、心配していたの、内心。
だけど、それは、余計なお世話だったみたい。

ちゃんと、上手くいく様に出来ているのね。
縁があれば、周りが何をする迄もなく、ハッピーエンドが待っている。
そう言うものなのだわ。


幸せそうな百手さん。
阿久津君の傍にいると、幸せが自分でも気付かぬままに溢れて、零れて、どうしようもないのね。
ずうっと笑顔。
ハイテンション。
付き合い始めて数ヶ月、いい加減、落ち着いても良さそうだけど、その日は当分来なさそう。

会う度の惚気は、私には甘過ぎるわ。




「吉下、溜め息」
「……あ。ええ、何だか急に……ご免なさい」


木嶋と、何かあったの?……百手さんは、何故かそんな的外れな事を言いながら、私の顔を、覗き込む様にする。
(何故、ここで木嶋君の名前が出て来るのか、私にはさっぱり……全く、理解出来ないけれど)

私の溜め息は、貴女と、貴女の隣の人の所為。

隣の人は、私の気持ちが分かるらしくて、ちらりと顔を見ると、呆れた風に苦笑い。
いいえ、照れ笑い?
貴方も、彼女とどっちもどっちよ、阿久津君。
友達が幸せなのは嬉しいけれど、幸せ一杯の笑顔は素敵だけれど、デートにお誘い頂くなんて、私には甘い。
甘過ぎるの。

(たとえ、偶然、会ったとは言え)

私、そこ迄野暮じゃないつもりよ。




貴女達の笑顔もこの状況も、私には甘過ぎる。
早くお暇するべく、注文したコーヒーに忙しなく口をつける。
あぁ、熱い。
甘い。

今日は、どうしたって、お砂糖は入れるべきじゃなかったわ。